短編小説 NO.3『宝くじ』
テレビから、宝くじの抽選会の風景が流れて来る。 「さぁ、まずは3が出ました。次いで5、一等三億円の組番号は三十五組と決定しました」 よし、いいぞ。俺は心の中で喝采する。握り絞めていた手にも自然と力が入る。 そのきつく握った手の中に、一枚の宝くじがある。普通の宝くじではない。六本木の露天商から五万円で買ったものだ。 一枚で五万円? 馬鹿言うなよ。そう言った俺に、露天商は得意げに語ったのだ。これは絶対に当たらない宝くじだ、と。 俺はピンと来た。絶対に当たらない。そんなことわかるはずがない。なぜそんなことを言う。そもそも、当たらないのならただの紙切れじゃないか。だからピンと来た。こいつには何かある。例えば、人智を越えた魔術のようなもの。物事には常に裏と表がある。これは、あるいは絶対に当たる宝くじではないのか。 程良く酔っていたこともあり、俺はそのくじを買った。手に取った瞬間、得体の知れない力を感じた。俺は自信を持った。これはやはり魔法のくじだ。 そして、その自信はいまや確信に変わりつつある。組番号という第一関門をあっさり突破したのだから。
「いよいよ番号の発表です」 プレゼンテーターのお笑い芸人が、抽選会を盛り上げる。 番号が書かれた大型のルーレットが、一つ、また一つ、回り始める。 「最初は・・・1、1です!」 手元のくじに視線を落とす。もう何度も見た番号。すっかり記憶してしまっている。それでも、俺の目はくじに行く。1。確かに書かれている。 「続いては・・・7」 いいぞ、いいぞ。 「今度は・・・4」 そうだ、そのまま。 「さらに・・・また4」 それでいい、そのまま、あと一つ。 「そして・・・7!」 当たった、17447。俺は声に出して叫んだ。俺の勘は正しかったのだ、これで俺も今日から億万長者だ! 「最後は6でした!」
まだあったのかよっ!!
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