今日のテーマ『ONE WORD サイドストーリー』
ぼくは、一応、劇団の主宰などを務めており、このブログも劇団HPのコーナーの1つとして立ち上げている。 ならば「たまには演劇に関することでも書いてみようかな」と思っていたところ、嬉しいことに、
「先日の上演作品(ONE WORD)のサイドストーリーが読みたい」
という声が、ぼくの親友・H田君を始め複数の読者より寄せられた。 ありがたい話である。
数少ない貴重な読者の声には答えねばなるまい。それが、お客様サービスというやつである。
そこで今回は、以前、劇団メンバーたちと稽古中の余興に作ったミニ台本を、掲載してみようと思う。 先日の当劇団公演をご覧いただけなかった方にはわかりづらい話でまことに恐縮ではあるが、お許し願いたい。
なお、どうして突然、こういうミニ台本を掲載するかと言えば、繰り返しになるが、あくまでも読者のニーズに答えんがためである。
決して、作者がネタに困っているわけではない。 とりあえずこの話で時間を稼いで、その間に何とか新ネタを探さなくては、などという切迫感や焦燥感などまったくない。
ましてや、団員の“キノコ”との間に、
キノコ「えへっえへっ、ブログ」 ぼく「ああ・・・ブログなぁ」 キノコ「えへっえへっ、書いて」 ぼく「わかってる、わかってるんだが」 キノコ「(ぽふっ)」 ぼく「いかんせん、ネタが」 キノコ「(ぽふぽふぽふっ)」 ぼく「痛いっ! わかった、わかったから胞子を飛ばすなっ」 キノコ「えへっえへっ、早く」 ぼく「もし、書かなかったら?」 キノコ「えへっえへっ、殺す」
などという、やり取りなんて絶対にない。 なかった。なかったことにしたい。違う、本当になかった。
というわけで、以下、ONE WORDのサイドストーリーである。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
1
いつもと変わらぬワンワードのアトリエ。 グラード、サラ、バルカル、ウラノフ、ペト。 次回のショーの打ち合わせ中である。
グラード「だから・・・であるからして・・・」 サラ「相変わらず退屈な会議ね、バルカル」 ウラノフ「まあまあ、そう言わずに」 バルカル「時は金なりだぜ」
と、そのとき。 ふええ、ふええ、という音が鳴り響く。
グラード「ん、な、何だ?」 ペト「あ、ちょと失礼するです」
ペト、三次元ポケットから何かを取り出す。 それはペトの携帯電話。
ペト「あい、もしもし」 ウラノフ「え、いまの着信音?」
ペト、電話片手に部屋の隅へ。
グラード「ペトが携帯電話を持つとは・・・」 バルカル「時代は変わったぜ」 サラ「って言うか、買ったのかしら?」 グラード「あいつの給料、850円だぞ」 ウラノフ「時給?」 グラード「月給」 バルカル「格差のひどい世の中だぜ」 グラード「誰かからもらったのかなあ?」 サラ「それより、電話の相手は誰?」 ウラノフ「友達ですかね?」 サラ「友達? あいつにいないわよ、そんなもん」 バルカル「そうか。お前と一緒だな」 サラ「(しなる右手)」 バルカル「わきゃんっ!」 ペト「あい、あい、すぐ行くです」
ペト、電話切る。戻って来て、
ペト「ずびばぜん、ちょと用事あるです」 グラード「あ、ああ、別に構わないが」 サラ「用事って何よ?」 ペト「(ズルい笑顔)」
ペト、退場。
サラ「な、何か腹立つわね・・・」 バルカル「まぁまぁ、いいってことよ」 サラ「え?」 バルカル「誰にでも秘密くらいあるもんだ(何かを取り出しくわえる)」 サラ「バルカル、ここ禁煙」 バルカル「わーい、ひっかかったー、これは煙草じゃなくてチョコレート でしたー、ばーかばーか」 サラ「(かかと落とし)」 バルカル「わ、きゃ、ん」
バルカルの体からもう一人の半透明なバルカルが出て来た。
グラード「それにしても、一体何だろうな、ペトのやつ・・・」
2
ワンワード事務所、厨房。 ペト、冷蔵庫やら棚をごそごそ。 両手一杯に食料品を持って退場。 しばしの後、 鼻歌混じりにトゥーラ登場。
トゥーラ「♪今日の夕飯、カレーライス、カレーだカレーだ嬉しいな♪」
トゥーラ、冷蔵庫開ける。 何も入ってない。
トゥーラ「うおぉ、何でやねん!」
トゥーラ、大袈裟にコケる。 床に一枚のメモを発見。
トゥーラ「これは・・・この象形文字にしか見えない言葉の羅列は・・・ ペト語か!」
トゥーラ、ペト語を翻訳。 ペトの目的を知る。
トゥーラ「ペト・・・」
トゥーラ、ちょっと笑顔。 あ、でもまた買物に行かなきゃ。
トゥーラ「♪今日の夕飯、ライスカレー・・・あれ、カレーライス、ライス カレーどっちだ♪」
3
街を歩くペト。 荷物(食料)抱えて、えっちらおっちら。 む、前方に真っ白い小さな犬が。
ペト「んあ、あの犬さんは・・・」
ペトの記憶に忌まわしい過去が蘇る。 その犬に追い回された過去。 犬、近付いて来る。
ペト「・・・お、お手!」 犬「・・・」 ペト「お、お手するです!」 犬「(右手を、ペトの手より下に差し出す)」 ペト「(うっかり自分がお手してしまう)」 犬「(ペトの頭をなでなで)」 ペト「うぅぅ、何か違うです・・・」 犬「わん」
4
ペト、街を歩く歩く歩く。 頭の上に犬が乗っかっている。 やがて、一件の建物が見えて来る。 「○○孤児院」という看板が見える。 ペト(と犬)そこに入る。 中には、修道女が待っていた。
修道女「ペト」 ペト「来たです」 修道女「ペト、いつもありがとうね」 ペト「これ、みんなで食べるです」
ペト、食料を修道女に渡す。
修道女「本当にありがとう。あなたのお陰でどれほど助かっているか。 ワンワードのみなさんにくれぐれもよろしく伝えてね」 ペト「あい」
そこに、たくさんの子どもたちがやって来る。
子どもA「あ、ペトだ」 子どもB「わーい、ペトだペトだ」
子どもたち、ペトを取り囲む。
子どもA「ペト、マジックやれよー」 ペト「あい、おいらマジックするです」
ペト、例のマジックを披露。
子どもB「・・・それ、前も見た」 子どもA「たまには違うのやれよー」 ペト「うぅぅ、おいらこれしかできないです」 子どもA「まあいいや、俺はそんなお前を許すよ」 子どもB「ペト、遊ぼ遊ぼー」
ペト、子どもたちと遊ぶ。 と言うより、子どもたちに遊ばれる。 髪の毛わしゃわしゃされたり。 ほっぺうにうに引っ張られたり。 ペト、ふぇぇふぇぇ言いながらも笑顔。 それは、決してペトが、 「えへっえへっ、みんなに苛められてるです」 というドM的な快感を覚えているからではない。と思う。多分。
そんな中、遊びの輪に入れない一人の子ども。
子どもC「・・・」
ペト、子どもCに気付く。 近寄っていく。
子どもC「・・・」 ペト「(自分のほっぺをうにょーん)」 子どもC「(笑顔)」 子どもA「こらー、ペトー、逃げるなー」
ペト、また子どもたちに遊ばれる。 子どもC、今度は輪に加わっている。
ペト「ふぇぇ、ふぇぇ」
窓に人影。 そんなペトの様子を、誰かがそっと見ている。 あ、トゥーラだ。
トゥーラ「ペト・・・」
トゥーラ、ハンカチで目尻を抑え、 ついでに鼻をちーんとかんで、
修道女「こっちです、怪しい女が敷地内に」 ポリス「どこだどこだ、お、あいつか!」 トゥーラ「(驚異的なスピードで逃走)」
(ONE WORDサイドストーリー、完)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
すでに元ネタがある作品の、その本筋とはまったく違うサイドストーリーを書くことを「二次創作」と言うんだそうであり、例えば、コミケ(コミックマーケット)に出典される小説などには、そうした類いのものが圧倒的に多いそうである。
そうそう、コミケと言えば、先日、とある人物からこんなオファーが届けられた。
とある人物「今冬のコミケで文芸誌を一冊出す予定なんだが」 ぼく「ほうほう、なるほど」 とある人物「あんたも一本、作品を提供しねぇか?」 ぼく「二次創作?」 とある人物「いや、あんたのオリジナルでいい」 ぼく「でも、コミケなんて今まで関わったことがないよ」 とある人物「心配いらねぇ、俺に任せろ」 ぼく「でも、ぼくもいろいろ忙しいからなぁ」 とある人物「ギャラは(電卓を叩き)こんなもんでどうだ?」 ぼく「やります。ぜひ書かせて下さい」
とある人物は、ぼくにとって大切な人である。ぼくは金に吊られるなどということはない精錬潔白な男だが、誠意には答えねばなるまい。
その辺りの話はまた、ここで書かせてもらいたいと思う。
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