今日のテーマ「お正月」
正月である。 元旦である。
初日の出を拝むこともなく惰眠を貪り、昼近くになって目が覚めた。 正月恒例の演芸番組を見るともなしに見、やたらぶ厚い元日版の新聞に目を通し、いつもの習慣で占い欄を読む。どれどれ今日の天秤座はどんなもんだろうか。
「年末の疲れ取るが先決。新年だからと軽率に動くは凶」
おお、何ということだ。新年早々運気不調らしい。ここは占いのお告げに従うことにしよう。僕は今日一日の予定を全てキャンセルすることにした、が、もともと今日は何の予定も入っていなかったことに思い至り、安心して寝正月を決め込んだ。
夕方頃。 丸一日寝ていては今晩眠れなくなる、と思い至る。 ふらりと家を出て、古本屋にでも寄りつつ珈琲でも飲みに出掛けよう。
地元の街は閑散としていた。静かな街は嫌いじゃない。破魔矢を抱える家族連れと時たますれ違いながら、僕は携帯電話をチェックする。昨夜(厳密には今日未明)就寝前に送っていた何通かの年賀メールに、返事が届いている頃であろう。こちらが送りそびれていたものには返信せねばならぬ。
ぼくは昔から年賀状が好きである。最近でこそメールがほとんどになったが、普段はあまり連絡を取り合うことのない旧友・知人と近況報告しあう良い機会だ。ぼくはそれが好きなのだ。 ごろ寝していたせいもあり、携帯の電源を入れ忘れていた。電源をオンにし、センター問い合わせボタンをぽちっ。 きっと、相当な数の年賀メールを受信していることだろう。やれやれ読むだけでも一苦労だ。しかし、そうしたメッセージを一通一通読むのもまた正月の楽し 『新しいメールは、1件です』
ぼくはその場にひっくり返った。 いいい、1通て。結構たくさんメール出したのに、帰って来たのが1通て! 僕は唖然としながら携帯を睨み見た。本年の初驚愕である。一体これはどうしたことか? しかし、気を取り直す。この唯一の年賀状は、今の切ないぼくにとって最高のお年玉である。誰だ、この一通は。女子だったら確実に恋に落ちる。
迷惑メールだった。
ぼくは路上に呆然と立ちすくむ。ああ冬の風が冷たいなぁ。 ふんっふんっ、いいもんいいもん、どうせみんなぼくのことなんか嫌いなんだ、ぼくの年賀状なんていらないんだ、ちくしょうぐれてやる、煙草吸って酒飲んでや 「ああもう、うざいなぁ」 背後から声がして慌てて振り返った。 あ、きのこだ。
「やあ」 やあ、て、やあじゃない。まったくいつもながら、こいつは気が付くとすぐ真後ろに生えている。 「そんなにすねるな」 いや、そういうがな、きのこ。だってだって、 「帰省中の人もいる」 まぁ、確かにそれは。 「ヴァカンス中の人もいる」 いやいや、ヴァ、て。 「風邪気味の人もいる」 それもそうだ。 「人は皆、事情がある」 おお、いきなり哲学的だ。 「わかったか」 わ、わかった。よくわからないが、何となくわかったような気がしないこともない。 「ところで」 ん、どうした? 「お年玉よこせ」 あげるかーーーっ!
そんなこんなで、元日の夜も更けて行く。 今年も一年が始まって行く。 人の数だけドラマがあり、あるときは主役、あるときは脇役として、人は人に関わって行く。 カッコ付けてると言われるかも知れないけれど、全ての人々にとって愉快な一年になればと本気で思った。
今年もよろしくお願いします。
(※このブログは大袈裟に書かれています。僕や劇団宛に年賀状をくれた方々、どうか不快に思われませんように)
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