今日のテーマ「アルファベット略語」
近頃、 『KY式日本語』 なる辞典が発売されたようである。
“KY”とは、言うまでもなく“空気が読めない”のアルファベット略語であり、このブログでも過去何度か取り上げた。 『KY式日本語』は、そうしたアルファベット略語を四〇〇以上も収集した一冊なのだという。 いくつか例を挙げれば、
“PK”→パンツくいこんでる “MK”→マジでキモい
などである。 “ギャル語”の類とでも言えようか。
一体こうした言語を本当に巷の“ギャル”が使っているのかどうか、疑問な部分はある。 しかし、それよりもっと疑問なのは、この辞典を誰が買うのかということである。
想像してみてほしい。 実際、こうした言葉を使う(とされている)ギャルたちが、この辞書片手に友人と会話するだろうか? ちょっとギャル離れしたギャルである。
あるいは、ギャルと仲良くなろうと目論むオッサンが、夜中にこっそり読んで研究するのだろうか? 間違いなくそのオッサンは“MK”である。
とは言え、この辞典は、辞典界では大手に属する出版社から発売されており、実際のところ、既にかなりの売上を計上しているという。 もしかしたら、あなたの隣りのまさかのあの人も、こっそり読んでいるかも知れない。
ところで。 こうしたアルファベット略語の第一号をご存知だろうか? それは、旧帝国海軍が用いていたという、
“MMK”
という暗号だそうである。 (08年2月5日付 読売新聞より)
この言葉、 『モテテ、モテテ、こまる』 の略語なのである。
一体どんなシチュエーションで、帝国海軍の軍人たちがこの言葉を使っていたのかさっぱりわからないが、太平洋戦争の敗北が必然だったことだけはわかる。
と。 ここまで書いて来て、私は一つのことに気が付いた。 アルファベット略語には、言葉の強さを和らげる、という効果があるのではないか。
他人に面と向かって、 「お前、マジキモい、空気も読めねぇし」 などとは、普通は言わない。 そんなこと言われるのは、劇団内での私くらいであろう。 だが、アルファベット略語を使うことで、そうした言葉の鋭利さを抑えることは可能だ。むしろ、冗談めかした雰囲気を作ることさえできる。
言葉は鋭利な刃物である。しかも両刃だ。その緩衝材として生み出されたのがアルファベット略語なのではないだろうか。 そう考えれば、直接的なコミュニケーションを取ることが苦手とされる現代人の間で、こうした一連の言語が広まっていることの説明も付くのである。
実験してみよう。
部長「いやぁ、YB、YB」 社員「TPってますね。どうしたんすか?」 部長「SCがDZでKKKにOCDでさぁ」 社員「うわっ、MYB!」 部長「これでうちはTSKだな。ははは」
という、社内での会話がある。 部長がはははと笑っており和気藹々である。 しかし、彼らは、こう話していたのである。
部長「いやぁ、やばい、やばい」 社員「テンパってますね。どうしたんですか?」 部長「社長が脱税で神奈川県警にお縄ちょうだいでさぁ」 社員「うわっ、まじやべぇ」 部長「これでうちは倒産確定だな。ははは」
一大事である。 しかし、そんな一大事も、アルファベット略語のお陰で愉快なワンシーンに様変わりである。
よし、決めた。私もこれから、このブログを略語満載で書くことにしよう。そうすれば、日本中のギャルが面白い面白いと食い付き、私宛のデートの誘いもわんさかで、MMKになること疑いなしである。 ではさっそく。
【私が地元のYYでGDをMKっていると・・・ うわっ! 突然、頭を5ODされた。 振り返ると、KNKがDKを持って立っていた。 KNK「このOBY! MZMに書かないとKRS」】
私はブログの略語化を断念した。 次回は、当然普通の文章でお送りします。
(下記は、【】内の訳)
【私が地元の吉野家で牛丼を貪り食っていると・・・ うわっ! 突然、頭を5回殴打された。 振り返ると、きのこが鈍器を持って立っていた。 きのこ「この大馬鹿野郎! 真面目に書かないと殺す」】
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