BSEだろっ!
今日のテーマ『BSEだろっ!』


 何か事が起きると大騒ぎし、そのくせ、人の噂も七十五日、案外早くその騒ぎが収まってしまうのが、良くも悪くも日本人の特性、だと思う。
 
 好例がBSE問題であろう。
 
 数年前、国内でも狂牛病感染牛が発見され、日本人の間で“牛さんなんて嫌いだ”気分が一気に高まった。牛丼をこよなく愛する一部の人々を除き、多くの家庭の食卓から牛さんが消えたと言う。
 が、いつの間にか、そんなことは初めから何もなかったかのように、夕飯のメインメニューに牛さんは復活していた。

 かく言うこのぼくも、一時期“生涯断牛宣言”を高らかに発していたような記憶がある。
 しかし、最近では、
「年取ると、カロリー摂らなきゃ夏場はもたんわ」
 が口癖となり、牛さんどんと来いである。

 ところが、ここに来てBSE問題がまた再燃しそうである。理由は言うまでもない、近々(今日か?)日本への入国を禁止されていたアメリカンな牛さんたちが、灰色ながらも無罪放免、日本へ再びやって来ることになるからである。

 ああ恐ろしきかなBSE。まだ完全には人体への影響が判明してないとは言え、巷間伝えられている因果関係が事実だとすれば、その牛さんを口にしたが最後、脳がすぽんすぽんになって立ってることもままならなくなって、うわー怖いよーすぽんすぽん嫌だよー、失礼、取り乱した。とにかく大変なことになってしまうのである。

 それじゃあアメリカンな牛さんだけ気を付ければ良いかと言うと、それがそうではないから困ったもんである。悪徳経営者が采配を振るうスーパーあたりでは・・・

店員A「社長、やっぱアメリカンな牛さんは売れませんぜ」
悪徳経営者「じゃあ、日本のと混ぜちゃえばいいじゃん」
店員A「おお、それは名案、牛の日米安保同盟!」
悪徳経営者「ユー、混ぜちゃいなよ」

・・・などと言う陰謀が、店内バックヤードの片隅で繰り広げられているに違いないからである。くわばらくわばら。
 当面、牛さんを控えようかと思っている今日この頃である。

  ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆   ☆

 
 そんなことを考えていた折、ぼくがのんびりと、職場近くのファミレスで遅い昼食を取っていたときのことである。

 店内に入り、店員氏にコーヒーを注文し、煙草を一服。そこで、ふと隣りのテーブル席を見ると、派手な女子高生二人組が座っていた。
 彼女らは、注文したメニューを待っているようで、携帯電話をそれぞれ手で弄びながら、担任教師の悪口やらクラスメイトの噂話をしていた。
 ぼくは聞くともなしに、彼女たちの会話を聞いていた。

女A「・・・ところで、アメリカンな牛さんって食べる?」
女B「あ、ちょっとヤバいんじゃない」

 ほほぉ、とぼくは思った。例の問題である。
 一見、怖いもの知らずのように見える女子高生たちでも、やはり狂牛病は怖いのであろう。
 ぼくは引き続き、彼女たちの会話に聞き耳を立てる。

女A「やっぱアレは怖いよね、えっと・・・何だっけ? ド忘れした」
女B「あー、英語で言うアレか・・・何だっけ?」

 ぼくは思わずニヤリとした。BSE、の三文字が出て来ないようである。なるほど、確かにそういうこともあるだろう。

女A「えっと、えっと、ODA?」
女B「そうだそうだ。ODAだ」

 違う、違うぞ君たち。ODAなわけないだろう。狂牛病を発展途上国に援助してどうする? 国際問題に発展するぞ!

女A「いや、ADSLだっけ?」

 馬鹿な!電話回線で繋げちゃ駄目だよ。

女B「う〜〜〜ん・・・DDT?」

 お前は何を駆除したいのだ?

女A「違うなー。あれ、ホントに何だっけ?」
女B「何だっけねー」

 次第にぼくはイライラして来た。
 言いたい。彼女たちに答えを教えてあげたい。
 しかし、突然 彼女らに「それはね、BSEと言うのだよ」などと言ったところで、
「テメー、盗み聞きしてんなよ!」
 となるに決まっている。いや、あるいは、
「お兄さん、物知りー。チョーカッコイイ。デートしよっ」
 などという素敵な展開に・・・なるわけがない。妄想終わり。

女A「確か、頭はBだよ」

 そうだ、そうだよ。頭はB。近づいて来たぞ。

女B「えっと・・・えっと・・・B・・・」

 頑張れ、頑張るんだ、女子高生!

女A「BMW」

 ううん。乗れない。狂牛病は運転できない。

女B「BBS?」
女A「BBC?」

 ノンノン。掲示板でもイギリス国営放送でもなーい。

女A「BCG?」

 近い。ちょっと近い。医学関係でちょっと近い! もうちょい!

女B「CCB?」

 離れた。遠く離れた。ロマンティックが止まらない。

女A「もういいや、疲れた。いいよ、CCBで」
女B「そうだね。いやー、CCBはヤバいよねー」

 何てことであろうか。彼女たちの中で、狂牛病はCCBになってしまった。確かにBSEもCCBもヤバいことはヤバいが、あんまりである。髪の毛ピンクのドラムボーカルも、きっと嘆いている。
 ぼくが痛恨の思いでいると、彼女たちが注文していたメニューを、店員氏が運んで来た。

店員「こちら、アメリカンハンバーグになります」
女A「はーい」
店員「こちら、アメリカンサーロインステーキになります」
女B「ほーい」

 ・・・女子高生万歳!!


(※この作品はA島氏より一部情報を頂いています。この場をお借りして、「礼」を申し上げます)


【2006/07/27 01:18】 | 月の砂漠 | トラックバック(0) | コメント(0)
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